「うたチャン」端末で高齢者の見守り、サポート、情報提供~歌志内市の取り組み
歌志内市の高齢者宅に貸し出された液晶端末で、見守りや健康相談、各種情報提供、家族とのテレビ電話もできるシステムが活躍しています。
端末の愛称は「うたチャン」で「歌志内のチャンネル」の略です。9月に私が歌志内で講演する機会があり、その内容も端末にライブ配信されたので、仕組みについて説明します。

(うたチャンの液晶画面。見守り、情報提供、家族との
連絡などに連日活躍しています)
高齢者にも使いやすそうな端末
このシステムは、歌志内市が2025年秋からNTTドコモビジネス(東京)と契約して運用しています。端末の貸し出しの対象は65歳以上で一人暮らしの人や、75歳以上の人だけの世帯で、現在83台の利用があります。利用は無料です。
端末の液晶画面は8インチで、飲食店の注文用タッチパネルよりややコンパクト。操作はパソコンより簡単な感じです。「これなら、高齢者も使いこなせそうだ」と実感しました。
毎朝の回答が暮らしを支える
見守りは毎朝7時半に、市から健康に関するアンケートが端末に届き、利用者が回答する方法です。それが習慣となり、「毎朝、端末の前に座ってアンケートが届くのを待っている」と語る利用者もいます。
回答が3日間ない場合は、市が安否確認します。実際に回答が途絶えた利用者がいて、市職員が訪問したところ、体調不良を訴え入院につながり大事に至らなかったケースもあります。
テレビ電話の機能付きなので、市の保健師、管理栄養士との健康相談もでき、定期的に保健師にテレビ電話をかけてくる人もいるそうです。
家族ともテレビ電話で会話
このほか、ごみ収集などのお知らせ、イベント情報などが届き、天気予報、体操動画も見ることができます。体操動画には市長さん自ら出演しており、ちょっと驚きました。地震が起きた際は警報音が鳴る仕組みです。
朝の健康アンケートとは別に、毎週木曜の各種アンケートには、総利用数83台のうち60回答があるなど利用は好調。また、地域おこし協力隊のブログ配信も人気を集めています。
大変便利なのは、家族のスマホのアプリで、テレビ電話で会話できることです。現在83台のうち、25台が家族とつながっており、利用者からは「孫と話せる」「顔が見られる安心感がある」と好評です。高齢化、核家族化が進む中で、高齢者と家族や地域との絆をしっかり支えています。
講演もライブ配信で参加
市は今年、介護教室をシリーズで開催し、会場に行くのが難しい利用者を対象に、その模様を端末にライブ配信しています。端末操作が難しいと感じる方もいるようですが、一度、視聴できた方は繰り返し利用しているといいます。私が9月に講演した際のライブ配信では、講演中はそれを意識することはなく、自然な感じで話を続けました。

(介護教室をライブ配信する前の準備作業=9月25日)
事業費は初年度の2025年度が約2180万円、2026年度は約920万円を見込んでいます。運用を手がける市保健介護課の担当の方は「スタートしたばかりで手探りの部分も多いのですが。コミュニケーションツールとしてはもちろん、安否確認のためにも必要なものと認識しています」と語っています。
広い北海道こそIT機器を
国立社会保障・人口問題研究所の推計によると、北海道の一人暮らし高齢者(世帯主が65歳以上の単独世帯)は2025年で約40万人。都道府県別では、東京、大阪、神奈川、埼玉、愛知に続き6番目。
上位の都府県の面積が北海道に比べはるかに狭いことを考えれば、広い地域に一人暮らし高齢者が、分散していることが容易に想像できます。
道内では歌志内市以外にも、IT機器を使った高齢者の見守り、サポートの取り組みが始まっています。今後の課題は、費用はもちろん操作をできるだけ簡単にするシステム作りになるでしょう。とはいえ広い北海道だからこそ、単身や高齢夫婦、離れて暮らす子ども世代にも心強いIT機器の普及が求められそうです。
(2026年10月)
参考 国立社会保障・人口問題研究所 日本の世帯数の将来推計(都道府県別推 計)令和6(2024)年推計



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